歴史はただの暗記科目になってしまいがちです。
でも本当はそんな薄っぺらい科目ではなく、もっと深くて暗記どころか洞察力の方がよっぽど必要とされる科目です。
また、歴史を学ぶ理由は「過去から教訓を得るためだ」という理由が主流です。
でも、本当はもっと深い理由があります。
そこで、今回は歴史を学ぶ理由を探ってみましょう。
目次
なぜ歴史を勉強する必要があるのか?学ぶ理由や意味は何?
暗記が苦手だから歴史は苦手だ、と思っている方も多いでしょう。
確かに、学校や予備校で歴史を勉強すると、どうしても人物名や事件名が羅列されてしまい、言葉そのものを覚えなければならないと思ってしまいますよね。
もちろん、名前を覚えることでテストの点数を取ることができます。
でも、歴史を学ぶ本当の理由は、暗記して点数を取ることにあるのではありません。
もっと、深い理由があって歴史を学んでいるはずなのです。
さっそく、どうして歴史を勉強する必要があるのか、そして歴史を学んでどんな能力が身につくのか、この記事で確認してまいりましょう。
<なぜ、歴史を勉強しなければならないの?>
なぜ歴史を勉強しなければならないのか、その理由を先生から聞くことはなかなかありません。
しかし、勉強する理由を知ることで、歴史の勉強は面白みを増します。
そこで、ここでは5つの理由をご紹介します。
・過去を学ぶことは未来を知ることだから
歴史は過去の話です。
それゆえ、「どうして過去の話を今さら勉強しなければならないのだろう。それよりも将来の話をした方が良いのではないか」と思うかもしれません。
でも、実は過去を学ぶということが、将来の方向を大きく変えることになるのです。
私は高校生の頃、単純に世界史が好きでした。
その時には、ただ勉強していて楽しいと思っているだけでしたが、大学で歴史学を専攻するようになってから、歴史を見る目がまったく変わりました。
大学の先生は、「歴史は過去の出来事だけれども、未来をつくるために過去を知るんだよ。だから、歴史を勉強することはとても意義のあることだ」ということを教えてくれました。
この先生の言葉を聞いてから、ただ歴史という過去に目を向けるだけでなく、歴史を勉強するなかで知った人間・国家の行動パターンを見て、今と重ねあわせ、これからどうなるのだろうと推測するようになりました。
何事も過去という型を知ることで、現在どんな状況にあるのか分析し、どのように行動すれば未来を良い方向に変えられるか、段々と見えてくるのです。
良い意味で、歴史の流れを変え、型を破っていくためには、過去に繰り返された歴史のパターンを知ることが大切なのです。
・先人の功績は人生の方位磁針になるから
歴史を勉強していると、自分が惹かれる人物が1人2人は出てくることでしょう。
好きな歴史上の人物を見つけたら、その人物について詳しく調べてみてください。
自伝や伝記はとても参考になります。
彼らが激動の時代をどのように生きて来たか、どんな発想で以って歴史の流れを変えたのかを知ることで、自分自身もありきたりな行動を取る選択肢以外の選択ができるようになります。
たとえば、インド独立の父であるマハトマ・ガンディーは非暴力・不服従という、人間の常識をくつがえすような方法でイギリスに対抗しました。
彼は、仮に臆病と暴力の2択しかないのなら、暴力の方を選ぶと主張していたため、決して暴力を否定してはいません。
しかし、暴力よりももっと良いのは慈悲である、とも言っています。
このような考えを持っていたため、イギリスに対して強く反抗する力を持ちながらも、暴力を用いることのない無言の抵抗に出たのです。
戦争を起こさない方法で、敵や世界中の人間の良心に訴えかける技。
これは、歴史の型を破ったと評せるような、精神的な戦いだったのです。
このように、歴史を勉強して気になる人物を調べてみることで、自分の人生にも役立ちそうなメッセージを受け取れるのです。
・世界を楽しむため、文化を楽しむため
日本史でも、世界史でも、歴史を学ぶことは、自分の今住んでいる世界と全く違う世界を旅することでもあります。
つまり別の世界や文化を知る行為であるのですね。
とくに世界史を勉強していて、実際に勉強し、資料集で見かけた遺跡を自分の目で見たい、と思う人も多いでしょう。
大学生になってから、高校の頃に勉強した世界史の知識をもとに海外旅行に行くと、もっとその国の文化や歴史を知りたいと思えるようになります。
また、日本史を勉強してきた場合は、日本全国のお城やお寺を回ってみると面白いですよ。
このように、純粋に歴史を楽しむことは、自分の趣味にもなり、生活を豊かにしてくれる役割も果たすのです。
大学生や社会人になってからは、高校までとは違い、自分で国内旅行や海外旅行に行くことも多くなるので、旅行を楽しむためにも勉強しておこう、という楽しい気持ちで取り組むのもコツです。
・他者を受け入れるため
日本の歴史であっても、世界の歴史であっても、その時代に生きた人々の価値観は今とは全く異なります。
今では常識だと思われていることが、過去には非常識だと捉えられていた例は山ほどあります。
また、歴史を勉強することで、その国が何千年も前から持っている思想やスタンスを知ることができます。
長い時間かけて形成された考え方は、新しい時代になったとしても、根強く残っているものです。
そのことを理解しておけば、異なる国の人と話すときに、相手の気に障るような発言をうっかりしてしまうこともなくなります。
また、自分としてはちょっと受け付けられない、と思うようなことを言われたとしても、その国で育った人のバックグラウンドを良く知っていれば、相手の考え方にも寛容になれるのですね。
もちろん、日本人同士で意思疎通を図るときにも、同じことが言えます。
やはり、相手にも相手の歴史・バックグラウンドがあるのだという考え方ができれば、相手の生き方そのものを尊重できます。
このように、歴史を学ぶことで、他者を深く洞察でき、ぶつかり合いも少なくなると言えます。
・「当たり前だ」と思われてきたことを良い意味で疑う力を養うため
歴史から連想することは、多くの場合「教訓」や「過去から学ぶ」という言葉かもしれません。
でも、歴史を学ぶ本当の意義は、「当たり前だ」と認識されてきたことを良い意味で疑ってみることにあります。
大学で専門的に歴史を学ぶと、今までの歴史研究で「定説」とされてきたものをくつがえすような研究が、価値のある研究だと評価されます。
たとえば、江戸時代に鎖国していた日本は、幕末に列強欧米諸国からの不平等条約を結ばされたといわれていましたが、最近ではこのような見方を変えるような研究が発表されています。
不平等条約では、日本にいる外国人が日本で犯罪を起こした場合、日本の法に則って裁くことはできませんでした。
しかし、日本人が加害者である場合は、日本の法に則って裁くことが認められていました。
そのため、日本が自国民を保護することができなかったというわけではなかったのです。
ただ、日本人が列強諸国で加害者になった場合には、日本の法で加害者を保護することができないため、不平等だと言われていたのです。
しかし、当時列強諸国に住んでいた日本人はほんのわずかです。
そのため、このような不平等な法が実際に適用されることさえなかったのですね。
したがって、条約を結んだ当時の日本からすれば、この条約はそれほど不平等ではなかったのです。
あくまでも、今の私たちの視点に立てば、不平等に見えるということなのです。
このように、歴史とは、定説を疑って、歴史の真実を洗い出していく点に面白みがあるのですね。
ここから、歴史を勉強することで、ものごとが本当に言われている通りなのか、真実を見ようとする目を養えるようになるのです。
歴史を学ぶ一番の意義は、「定説・常識を疑って何が本当なのか探る」ことにありますが、この点はなかなか知られていません。
このことを知った上で、歴史を勉強してみると、歴史以外の物事も自分の目で見て何が本当なのか考える習慣がつくようになります。
<歴史の勉強は、一体どんな場面で役立つの?>
歴史を学ぶ理由は分かったけれど、どんな場面で役に立つのか疑問に思いますよね。
歴史を学ぶことで何かテクニカルな能力を養うことができる、というわけではありません。
しかし、歴史を通して得られるのは、言われたことをそのまま鵜呑みにせず、本当のところどうなんだろう、と自力で探る力です。
洞察力と言っても良いでしょう。
さらに、過去を知ることで今、そして未来を分析できるようになります。
これは、自分の人生設計をする上でも、仕事やサークル活動、学校などで人とうまく協力していく上でも役に立つマルチな能力です。
たとえば、自分たちの学年がサークルの中枢を担う番が来たときに、「組織とはこうあるべきものだ」という定説を覆して活動を成功させることもできます。
組織を変えることはなかなか難しいものですが、方向性を変えなければならないと判断したときに、常識を疑ってみる視点忘れなければ、本当のところ何が一番良いのか冷静に選択できるのです。
このように、歴史の勉強から養った洞察力・分析力は、数えきれないほど多くの場面で発揮できることは確かです。
【まとめ】
歴史で身につく能力は、目に見える技術的な能力ではありません。
しかし、何をするにしても役に立つ能力です。
もちろん、歴史から身に付けられる能力は、国語をはじめとした他の教科でも得られます。
しかし、一番その能力を身につけやすいのが歴史なのですね。
実は、何よりも実用的な教科は、意外にも歴史なのかもしれません。
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みなさんからのコメントをもとに、何のために勉強するのか、その意義が分かり、勉強が楽しくなるような記事を執筆してまいります。
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