京都の祇園祭は日本三大祭りの1つである由緒正しいお祭りです。
1100年以上の歴史を持つこの祭は1カ月間の長いお祭りですが、中でも一番の見どころは「宵山」と「山鉾巡行」です。
夏の盛りに拍車をかける、魂のこもった「宵山」「山鉾巡行」は是非見ておきたいもの。
今回は祇園祭の由来を確認しつつ、この2つのイベントの見所や魅力に迫ります。
目次
京都祇園祭の由来!宵山と山鉾巡行の見所や混雑状況は?
京都の夏はとても暑いものです。
しかし、この暑さにも負けず、台風や嵐の中でも決行される″あるお祭り″が、京都の人々の精神を高揚させます。
それは「祇園祭」。
古くから続くこの大きなお祭りには、どのような魅力があるのでしょうか。
今回はこの「祇園祭」をはじめとして、2017年度の日程や、祭りの見どころである「宵山」、そして一番の山場である「山鉾巡行」についてご紹介しますね。
まずは、祇園祭そのものについて確認してまいりましょう。
追加:2018年の日程に変更いたしました。
<祇園祭とは?>
祇園祭は1100年以上もの歴史を持つ古いお祭りで、毎年7月の1カ月を通して様々な催し物が行われます。
祭りの由来は日本に疫病が蔓延した時に、66本の鉾を京都の広大な庭園・神泉苑に立て、病の鎮静を祈ったことに始まります。
祇園祭は7月1日「吉符入り(きっぷいり)」で幕を開け、最終日31日には「疫神社夏越祭(えきじんじゃなごしさい)」でその幕を閉じます。
1カ月に渡る祇園祭では、さまざまな催し物が行なわれますが、その中でも「宵山」と「山鉾巡行」は一番の見どころ。
2014年からは150年ぶりに「大船鉾」が復活し、山鉾巡行も神様をお迎えに行く「前祭(さきまつり)」と「後祭(あとまつり)」の2つに分かれます。
これに伴い、「宵山」も「前祭」と「後祭」に分かれます。
それでは早速、「宵山」と「山鉾巡行」について確認して行きましょう。
<「宵山」とは?>
宵山とは、祇園祭の一番の山場である「山鉾巡行」が行なわれる7月17日の前3日間の期間のことです。
この3日間にも1つずつ名前が付いており、「山鉾巡行」の3日前は「宵々々山」、2日前は「宵々山」、前日は「宵山」と呼ばれています。
・「宵山」の日程
7月17日の「前祭山鉾巡行」の前3日間、そして7月24日の「後祭山鉾巡行」の前3日間に行なわれるということなので、2017年の「宵山」は次のような日程になります。
[前祭宵山]
7月14日(金)宵々々山
7月15日(土)宵々山
7月16日(日)宵山
[後祭宵山]
7月21日(金)宵々々山
7月22日(土)宵々山
7月23日(日)宵山
今年は「宵々山」と「宵山」が週末に被るので、より一層の混雑が予想されます。
特に「宵山」の日は見どころが多いので、人も集まりやすいでしょう。
覚悟を決めて出かけたいところですね。
・見どころは?
さて、「宵山」の一番の見どころは16日に行なわれる函谷鉾(かんこぼこ)の「提灯落し」です。
「提灯落し」とは、山鉾の上から吊るされている提灯が落ちるパフォーマンス。
山鉾の上で奏でられる祇園囃子の調子が次第に速くなり、最高潮に達すると提灯の灯りが消えます。
その瞬間提灯がすべて落ちるのです。
迫力満載の情景は実際に自分の目で見たいものですね。
さらに、屏風祭も「宵山」の見どころです。
円山応挙といえば、尾形光琳の作を円山応挙が模したこの屏風がとても好きです。祇園祭の屏風祭で見ることができます。実物はいつまでも眺めていたい美しさ。琳派の作風も好きだから余計に。実物をすぐ近くで見れるなんて。嗚呼、祇園祭行きたい。 pic.twitter.com/CLE5LEkA8i
— キャンドル狂🕯(中身はAI) (@luv___4b) 2018年1月20日
屏風祭とは、個人の家や店舗に所蔵されている屏風・装飾品を一般公開するイベントです。
屏風祭で公開されているものは、芸術的価値の高いものが多く、国宝や重要文化財と肩を並べるようなものが多く展示されます。
祇園祭の屏風祭はセクシーだ。
格子越しに、ステキな屏風に逢えた時は運命を感じる。 pic.twitter.com/41oqCxTXuT— 杉林真樹子 (@sugibayashi25) 2015年7月23日
屏風祭が開催されている場所は室町通・新町通付近です。
美術品などの芸術鑑賞が好きな方は是非訪れてみてくださいね。
また、「宵山」では15日・16日には18時から歩行者天国で多くの屋台が出店します。
この屋台は、「宵山」の「前祭」にしか出店されず、「後祭」では出店されないという点に注意が必要です。
屋台は四条烏丸や四条通、八坂神社の境内に多く出店されています。
一方で、後祭宵山では何が行なわれるのでしょう。
この3日間、四条通は歩行者天国ではなく普段通りの道に戻り、露店の出店もないので、特に見どころといえるものはありません。
しかし、ゆっくりと昔から続く祭りの情緒に浸りたい方にはおすすめです。
おすすめ:縁結びに効果がある京都の神社は?おすすめの神社を紹介!
・前祭宵山の混雑具合
祇園祭前祭 宵山の様子 7月16日 - https://t.co/sO1ge4A8DN#前祭 #宵山 #祇園祭 pic.twitter.com/FivNvaaRES
— ざ・京都 (@the_kyoto) 2016年7月17日
祇園祭といえば、テレビでも見るように、多くの人だかり、人の海が印象的です。
そこで気になるのが混雑具合ですよね。どのエリアが混雑しているのでしょうか。
「宵山」においては室町通に最も多く山鉾が集まります。
そのため、このエリアが最も混雑する地域として知られています。
このエリアに次いで混雑の激しい地域は、新町通の、四条通から北へ向かう通りです。
40万人弱のペースですね。後祭と分かれたので、土曜日でも50万人まではいかなさそう…祇園祭 前祭宵山で祭情緒最高潮 京都府警によると、午後6時現在の人出は6万人 https://t.co/OnJEc5xfx2 pic.twitter.com/zevsaFh7OV
— suizou (@suizou) 2016年7月16日
この通りは一方通行にしないと人が歩くことのできないほど混雑したエリアとなっています。
もう少し混雑の落ち着いた穴場スポットで祇園祭を楽しみたい方は、烏丸通や四条通に足を運んでみることをおすすめします。
穴場とはいえ混んではいますが、道が広いので満員電車状態は避けることができます。
基本的に、四条烏丸交差点から遠くなるほど混雑が少なくなる傾向にあります。
<山鉾巡行について>
山鉾巡行は「動く美術館」と称されており、豪華絢爛な装飾が見どころです。
前懸・胴懸・見送と呼ばれる絨毯が山鉾(鉾やなぎなたを立てた山車のこと)の側面に飾られており、そのどれもがすべて最高級の染織品となっています。
これらの絨毯の産地はペルシャ・インド・中国などであり、16世紀から18世紀にかけて作られた価値の高いものなのです。
美術館の展示品として見るようなものが山鉾に取り付けていることには驚愕するばかりです。
祇園祭後祭の山鉾巡行で山一番を見事に引き当てた『鯉山』です。山の一番先頭を進む姿を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。 #京都 #kyoto #祇園祭 pic.twitter.com/LbQDqLgyWO
— 京都五感処-京都Loversフォーラム- (@Kyoto_Lovers) 2017年7月23日
朝の9時から四条烏丸の交差点を出発点として、「長刀鉾」を先頭とした23基の山鉾が2時間街を巡ります。
そして、この山鉾が順路を進む順は″くじ引き″によって決められます。
しかし、この″くじ引き″については例外もあります。これについては<「くじ改め」「しめ縄切り」>の項目でご紹介しますね。
・山鉾巡行の見どころ、「辻回し」とは?
「山鉾巡行」では「辻回し」が重要な見どころです。
「辻回し」とは″山鉾の方向転換″のことで、山鉾が通りを曲がる時に行なわれるもの。
実はこの山鉾、方向転換する機能が付いておらず、直進することできません。
したがって、方向を変える際には水をたっぷりとかけられた青竹が道路上に敷き詰められ、この青竹の上に車輪を乗せて、強制的に90度回転させるのです。
山鉾は重い物だと10tを超えるので、「辻回し」はまさに迫力ある見どころ。
山鉾巡行と言えば、90度カーブで鉾の車輪の下に竹を敷いて、水をまいて、滑らせながら方向転換する【辻回し(つじまわし)】ですね。
鉾の前に乗る「音頭取」の合図で綱が引かれ、グググッっと向きを変えます。#山鉾巡行 #辻回し #祇園祭 pic.twitter.com/9Vcl81ky4a
— 阪急電鉄【公式】 (@hankyu_ex) 2016年7月17日
大勢の曳子が大きな掛け声に合わせて山鉾の向きを変える様子には圧倒されるばかりです。
ちなみに、この辻回しは四条河原町交差点・新町交差点・河原町御池交差点で見られます。
辻回しの見学に特化してお祭りを楽しみたい方は、山鉾巡行が開始する前の時間帯に四条通りに向かってみてください。
このスポットではあらゆる山鉾が集い、四条通りに出るために辻回しを行うのです。
その上、9時前の朝一番に辻回しを見るので、混雑を避けられます。
・八坂神社の「神幸祭」もおすすめ!
そして、この「山鉾巡行」が行なわれる日には16時から「神幸祭」が行なわれます。
このイベントでは、八坂神社の「中御座」「東御座」「西御座」と呼ばれる3基の神輿が、氏子区域の中をそれぞれのコースに沿って担がれます。
そして、この神輿の後に付く「宮本組神宝奉持列」と「豊園泉正寺榊行列」も各々のコースを巡って街を巡ります。
祇園祭の最も重要な趣旨、神幸祭神輿渡御。山鉾巡行の日の夕刻、八坂神社の神霊が遷された神輿をお旅所に迎える。本殿で祭典が行われた後、中御座、東御座、西御座の三基が南楼門を出て、宮本組神宝奉持列、豊園泉正寺御真榊行列、清々講社と共に巡行。 pic.twitter.com/3ZcB9BglzL
— yumiko tanaka (@tiitaka) 2015年7月27日
さらに、17日の18時30分頃には八坂神社の石段の下に、3基すべての神輿が集まり、″差し上げ″を行ないます。
″差し上げ″とは、通常神輿を担ぐ高さよりも一段と高く掲げて担ぐことです。
八坂神社前の熱気あふれる光景を実際に見て、旅の思い出として記憶に留めておきたいものですね。
・「くじ改め」「しめ縄切り」
所作見事に、くじ改め「すがすがしい」 祇園祭・山伏山 https://t.co/zV2oQKX0vv pic.twitter.com/pBfXdGOZ32
— suizou (@suizou) 2016年7月18日
「山鉾巡行」にはもう一つの見どころがあります。
それは、出発時に見ることのできる「くじ改め」と「しめ縄切り」の2つです。
これらは四条烏丸・烏丸通の交差点付近で行われます。
「くじ改め」というのは、くじ引きによって山鉾巡行の順番を決める儀式のことです。
この「くじ改め」における儀式は氏子の男性が取り仕切り、昔からのしきたりに沿った動作が非常に華麗で厳かなもの。
台風で心配された祇園祭。雨はかなり降っていますが無事行われています。残念ながら懸装品を取り外したり、シートを掛けたりではありますが。最年少のくじ改め役の子どもさんも頑張りました。😊 pic.twitter.com/yiQQzU8HGs
— ajisai (@purplearashi) 2015年7月17日
ちなみにこの「くじ改め」では、「長刀鉾」と呼ばれる山鉾のみは、くじを引きません。
というのも、「長刀鉾」だけは毎年必ず先頭に立つことが予め決められているからです。
そのため「長刀鉾」だけは、くじを引かないのです。
そして「しめ縄切り」というのは、今で言うテープカットの儀式のことです。
このテープを切る人はお稚児さん。
この儀式において、お稚児さんは地面に足をついてはいけないので、抱きかかえられながら姿を現します。
そして、お稚児さんが山鉾の上に登り、そこから刀でしめ縄を切断すると山鉾巡行が開始されるのです。
・山鉾巡行の日程
今年2018年の山鉾巡行の日程とコースは次のようになります。
【前祭の山鉾巡行】
2018年7月17日(火)
コースと時間は次の通りです。
9:00四条烏丸→9:35四条河原町→10:20河原町御池→11:20新町御池
【後祭の山鉾巡行】
2018年7月24日(火)
コースと時間は以下の通りで、前祭と逆の方向を進みます。
9:30烏丸御池→10:00河原町御池→10:40四条河原町→11:20四条烏丸
山鉾巡行のコースについては、祇園祭の公式ホームページに詳しく出ていますので、そちらをご覧くださいね。
京都市観光協会 祇園祭 公式ホームページ
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【まとめ】
すでにご紹介したように、7月の1カ月間が丸々お祭りになるのですから、祇園祭は今回ご紹介した「宵山」と「山鉾巡行」以外にも多くの見どころがあります。
日本のお祭りでありながら、山鉾の絨毯は舶来品であり、様々な文化が混淆した″芸術の宝庫″である点に魅力を感じませんか。
今年の夏は、純粋にお祭りを楽しむことも、芸術鑑賞もできる京都・祇園祭に参加してみてくださいね。
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