公務員の面接は民間企業よりも時間が短いものですが、決して軽視できるものではありません。
むしろ、いかに市民に寄り添った街をつくる意欲があるのかが見抜かれる場だと言ってもおかしくないでしょう。
公務員試験の面接に受かる人の特徴と言っても過言ではありません。
企業ほど選考が面接中心ではないことを理由の一つとして、公務員を目指す場合もあるでしょう。
それでも、面接は避けられないので、確実に対策を立てておく必要があります。
今回は、公務員を目指す方向けに、面接の質問例と回答例をご紹介しながら、ポイントをおさえて行きましょう。
目次
公務員試験の面接の質問例と回答例!受かる人の特徴は?
公務員の個人面接は15~20分程度と、民間企業よりも時間が短い傾向にあります。
しかし、短いからと言って、面接を軽視してはいけません。筆記試験は突破しても、面接で落ちてしまう方も多い点が侮れません。
今回は、民間企業とは一味違う公務員面接の対策について、5つの質問とその回答例をご紹介しながら、ポイントを確認して行きましょう。
その前に、面接で必ず意識したい2点について触れておきます。
<面接で意識すべきポイント2点>
・全ての質問において面接官が見ていること
面接において一番おさえておきたいことは、面接官はある一つのことを知りたいということです。
ある一つのこと、それは「志願者が公務員に向いているか」ということです。
公務員は、民間企業と異なり、利益追求は行いません。市民の生活を守ることが最優先であるためです。
したがって、面接官は「人々の幸せな暮らしに貢献したい」という考えを持つ人を入所させたいと考えます。
どのような質問が飛んできても、「市民の生活を守りたい」ということを最終的な着地点にすると良い回答になるでしょう。
・面接での呼び方は「御所(おんしょ)」
面接時に気を付けたいことは、役所の呼び方です。民間企業の場合は「御社」という言葉を使いますが、公務員の面接では「御所(おんしょ)」と呼びます。
企業と役所は組織の仕組みが異なるので、呼び方に注意したいところです。
ちなみに、書き言葉では「貴」、話し言葉では「御」を使うという法則があるので、豆知識として頭に入れておきましょう。
<面接で頻出する5つ質問とその回答例>
・志望動機
質問:「公務員を志望される理由についてお聞かせください。」
回答:「はい。公務員は市民の生活に寄り添った街づくりを行ないますが、それは″利益を追求せず、人のためになる場所を作りたい“という私自身の方向性と合致すると考え、公務員を志望致しました。
特に、市民の生活を第一に考え、かつ歴史ある街を保存する取組みづくりに注力している御所の取り組みには感銘を受けました。私は大学で歴史学を学んでおり、歴史と現代都市・市民の共生について研究して参りました。
しかし、実際に日本の歴史ある都市を調べてみると、歴史・文化の保全と市民生活の保護のバランスを取ることができていないことが分かります。
したがって、歴史的な街並みを保存し、観光客をはじめとした外部の人々にも街の価値を提供できるような取組みを行ないながらも、歴史的な都市における市民生活を守る取り組みにも従事している御行にて、私の知識を活かし、より人々が暮らしやすい歴史都市を構築できることを強く望んでおります。」
ポイント:公務員の面接では面接カードを使用しながら面接を進めます。面接カードには志望動機を書かされますが、それでもなお面接の場でも質問されるほど大切な項目です。
「公務員(市役所)のエントリーシートの書き方と例文は?」でもお伝えしたように、志望動機について答える際には、①なぜ民間企業ではなく、公務員を受けたいのか②なぜその地域を選んだのか③柔軟性を示す④市民の生活を支えたい、という4点を中心に書きましょう。
・なぜその役所でなければならないのか
質問:「なぜ弊所を志望されたのかお聞かせいただけますか。」
回答:「はい。私は歴史と市民の共生に力を入れている点に強く共感したため、御所を志望致しました。歴史的な都市は日本各地にございますが、御所の管轄である○○市は、日本の中でも、そして世界の中でも最も有名な都市でございます。
それにもかかわらず、○○計画を打ち出して、地域の住民の皆様の生活の保護と観光・歴史都市としての機能の両方のバランスが非常にうまく取れている地域です。
御所が取り組まれている○○計画は、大学で私が″歴史都市と現代市民の生活″の研究を通して持った疑問を、まさに解決するような提案となっております。
したがって、御所は、私が大学で持ち得た知識を最大限に活かすことのできる場所であると確信し、志望致しました。御所に入所したら、市民と歴史が気持ちよく生きてゆくことのできる街づくりに尽力して参りたいと考えております。」
ポイント:なぜ特定の役所を目指すのか、これは面接官が最も聞きたいことの一つです。
役所といっても、多くの数があり、それぞれの取り組みは地域の特徴によって異なります。この質問を投げかけることで、志願者のその地域に対する熱意・思い入れや、地域の問題点を見抜く力を垣間見ることができます。
面接の回答で伝えたいことは①その地域に興味を持ったきっかけ②志望する役所の取り組みに共感したこと③地域の問題に力を尽くして取り組みたい、という3点です。
この3点を確実に回答に含めることで面接官が聞いても説得力のある受け答えができます。
・大学生活を通して学んだこと
質問:「○○さんが大学生活を通して学んだことについてお聞かせいただけますか。」
回答:「はい。先にお伝えしたように私は大学で歴史を専門にしておりますが、学業だけでなく、4年間を通してボランティアにも取り組ませていただきました。週1回老人ホームにて、傾聴のボランティアを行なっておりました。
傾聴を通して様々な利用者様のお話しに耳を傾けているうちに、介護サービスや高齢者施設のみでは解決しきれない問題が介在することに気づきました。
印象的だったのは、″今の日本は海外の観光客向け事業を始めとした外向きのサービスばかりが注目されていて、高齢者の問題について考えられた取組みが負けている″といったご意見でした。
私はこの言葉で、「高齢者の方をはじめとした市民の方々の生活を決してないがしろにしない、内と外の両方に開かれた街づくりを行なわなければならない」ということを強く心に刻みました。この言葉を忘れることなく、御所にて市民を支え、あらゆる人々を包み込むような街をつくりたいと考えております。」
ポイント:大学で学んだことについては民間企業でも役所でも頻繁に聞かれる大切な質問です。
ただし、民間企業と公務員で、この質問をする意図が全く異なるという点に注意が必要です。先ほどもお伝えしたように、公務員の面接官は「その志願者が公務員に向いているか」という点を最重要視しています。
したがって、大学で学んだことを述べる際、最終的な着地点は、「住民の暮らしに精一杯貢献したい」ということになります。
「自分が学んだことは住民のために活かせる」という締めくくりにすれば、面接官にも「この志願者は公務員としての素質を持っている」と捉えてもらえます。
大学で学んだことは、サークル活動でも。アルバイトでも、学業でも良いです。ただし、「その経験を人のためにどう活かせるのか」という視点を必ず盛り込むようにしましょう。
あまり話を盛ることなく、普段の地道な取り組みから、いかにあなた自身が大きな気付きを得たのかということを述べましょう。
・公務員の仕事において大切なこと
質問:「○○さんが思う公務員の仕事で、大切なことは何だとお考えでしょうか。」
回答:「はい。私が公務員として最重要視したいことは、市民の生活を守ることです。街というのは、市民が主体となって作られると考えているからです。
実際、大学での都市の歴史研究を通して分かったことは、市民が生活に満足している都市ほど政治・経済・文化あらゆる面で潤っているということです。
歴史に学ぶ、と言いますが、私は市民の生活を第一に掲げることで、○○市の歴史都市・文化都市としての価値が保たれ、より人々が過ごしやすい街として機能してゆくと考えております。したがって、御所への入所後には市民に寄り添った計画を実現して参ります。」
ポイント:公務員の面接官が一番重要視していることは「その志願者は公務員に向いているかどうか」です。
公務員は民間企業とは異なり、利潤を追求しません。したがって、市民・区民などの住民を一番に考えます。「住民のより良い暮らしを創るために尽力する」という価値観が備わっている人が公務員に向いていると面接官は判断します。
公務員を第一志望として目指しているのであれば、そもそも「利潤を追求せず、人のために尽くす」点に惹かれて志望すると思いますが、民間企業と並行して就職活動を進めていると、つい″公務員の視点″を見失ったり、民間企業の考え方が混ざったりしてしまうこともあります。
公務員の面接では、「住民の生活が最優先」という視点を見失わないようにしましょう。
・10年後は何をしているか
質問:「あなたは公務員として10年後、どのような職務に従事されていると思いますか。」
回答:「はい。私は10年後、現在御所が最も力を注いでいらっしゃる、市民と都市の共生のための○○事業を実現させて、さらに人々が暮らしやすく、そして歴史・文化都市としての機能を高めるべく、より踏み込んだ緻密な事業に取り組んでいると考えております。
私はどのような部署に配属されたとしても、そこでの取り組みは必ず人々と都市の共生につながると考えております。″市民と都市の共生″という軸を持ちつつも、職務においては柔軟に取り組み、人々の拠り所となる都市をつくる助力になりたいと心から望んでおります。」
ポイント:将来の展望に関する質問は、民間企業において頻出するものなので、民間と並行して就職活動を進めている方には回答しやすい内容かもしれません。
しかし、公務員の面接でこの質問に答えられなかったというケースもしばしば見られます。公務員の職種は多様で、部署の異動も多いので、自分でも将来の見当がつかないことが多いでしょう。
しかし「住民のためにできること」を軸にして、その軸に沿って自分が取り組んでいることを思い浮かべてみれば、10年後に何をしているかある程度思い浮かべることができるはず。
また、自分一人では公務員としての将来は考えにくいので、先輩や友人、知り合いのつてで公務員であるOB・OGに直接お話しを伺うのが一番おすすめです。
できる限り、公務員の職務を続けて10年以上経っている方が望ましいですが、そうとは限らなくても公務員の内部事情を知る本人に、将来の展望やキャリアについて話を聴いてみると、より具体的な回答を考えることができます。
【まとめ】
やはり面接では首尾一貫した回答に説得力があります。公務員の場合は「市民の生活」と「街づくり」です。
あらゆる角度から質問を投げかけられても、回答の最後にはこの着地点につながるように、準備してみてください。
また、実際に公務員の方の話を伺うことで、自分のキャリアや将来取り組みたいことについて、鮮明に思い浮かべやすくなります。
OB・OG訪問はしっかりと行いましょう。
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