恋愛は人の心に変化をもたらします。
恋すると気持ちが穏やかになる人がいる反面、感情の起伏が激しくなり、疲れてしまう人もいます。
後者に当てはまる人には、特に恋愛小説をおすすめします。
恋心を描いた小説は、疲弊した心を癒し、物事を俯瞰する目を養うからです。
今回は恋愛の強い味方になってくれるおすすめの恋愛小説をご紹介します。
目次
おすすめの恋愛小説3選!疲弊した心を癒し、物事を俯瞰する目を養う
いつも恋愛に失敗してしまう。
恋愛すると感情の起伏が激しくなり、辛い思いをしてしまう。
こんな悩みを持っているのなら、時間を取って試して欲しいことがあります。
それは、恋愛小説を読むということです。
なぜ、恋愛小説を読むと良いのでしょうか。
そして、どのような恋愛小説がおすすめなのでしょうか。
今回は、心の「安定剤」となる、恋愛小説について確認していきましょう。
<恋愛小説は恋の安定剤>
小説を良く読んでいれば、自ずと気づくこと。それは恋愛をテーマにした作品が実に多いということです。
恋愛は人間にとって最大の謎と言えるテーマなので、小説の題材として取り上げられることには疑問の余地がありません。
でも、人はなぜ、恋愛で痛い思いをしても恋愛小説を読み続けるのでしょうか。
その理由は、恋愛小説が「安定剤」になり得るためです。
恋をしていても、していなくても、恋愛について思いを巡らす時、少なくとも人の心には起伏が生じます。
嬉しかったり、悲しかったり、その時々に応じて、気持ちが移ろうのです。
しかし、恋愛小説を読んでいると、それが悲恋であっても、ハッピーエンドであっても、なぜか落ち着いた心で物語を俯瞰できるのです。
このように、恋愛小説を通して、俯瞰のまなざしを獲得することで、恋した時にも物語を思い出し、自分が直面している今の恋愛を理知的に分析できるようになるのです。
そんな効果が得られる手段が、恋愛小説なのですね。
<心の栄養になる、おすすめの恋愛小説3選!>
さて、恋愛小説は恋の安定剤になるというお話をしました。
ただ、一口に恋愛小説と言っても、様々な切り口の小説が存在するので、どれを読めば良いか迷ってしまいますよね。
読書は、気になる本を片っ端から手当たり次第読んで全く問題ありません。
どんな本からも得るものは多いからです。
ただ、その中でも特に読んでおきたい恋愛小説が3つあります。
ここでは、それらの小説をご紹介しますね。
<堀辰夫「風立ちぬ」>
宮崎駿監督が手掛けた映画「風立ちぬ」を鑑賞したことのある人も多いでしょう。
この映画は、作家・堀辰夫の「風立ちぬ」が土台になった映画です。
読んだことはなくても、題名だけは耳にしたことはあるかもしれません。
普段、恋人がいることが当たり前になってしまっている人には、是非読んでいただきたい一冊です。
というのも、この小説は恋人と過ごす時間とその命の重さ、そして記憶の中で人が生き続けるということについて気づきを与えてくれるものだからです。
主人公の「私」と恋人であり妻となった節子は、何の変哲もないカップルでした。
しかし、節子は、重病の身であり、山奥のサナトリウムで療養することになります。
「私」も妻と共にそのサナトリウムに滞在し、そこで共に過ごした日々が描かれ、物語が進んで行きます。
妻の病状を見守る日々を過ごしながらも、夫は命の重さに触れることになります。
快方に向かうことのない結核の不安にさいなまれながらも、淡々と夫婦で日々を過ごしてゆく。
一般的にみれば、とても幸せとは言えない状況の中であれど、「私」と節子は少ない言葉を交わしながらも愛情を育んで行きます。
しかし、節子は闘病の末、亡くなってしまいます。
節子が亡くなってからしばらく経っても、「私」の中にはその命が生き続け、高原の森の中を歩いている時にも、彼女がそばにいるような感覚に捉われるのです。
節子を静かに死なせることができず、求めることをやまなかった自分に対し、後悔を感じながらも、「私」は節子が自分に何も求めずに愛してくれていたことを悟ります。
この物語は、内向的で主人公が物思いにふけるような、淡々とした雰囲気の構成になっています。
重いテーマではありますが、「何を愛と言うのか」、「愛するものの命の重さ」に光を当ててくれる物語です。
付き合い始めて長く経ち、相手の大切さを忘れかけているのであれば、この名作を紐解いてみてください。
物語を読み終わる頃には、恋人を見る目が変わるでしょう。
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<エミリー・ブロンテ「嵐が丘」>
直球の愛ほど、人の心を奪うものはありません。
心打たれ、読み終えてもしばらくその余韻が消えないような恋愛文学に触れたいのであれば、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』を読破してみましょう。
この作品は、純粋な恋愛小説というよりも、愛と憎しみが入り混じった復讐劇と言い表せるでしょう。
しかし、その複雑な恋愛構造の核心には、主人公であるヒースクリフの真っ直ぐな愛が垣間見えます。
この物語に登場する主人公・ヒースクリフは、嵐が丘の主人であった故・アーンショーにより拾われてきた孤児です。
彼はアーンショー家の娘・キャサリンと幼い頃より、仲睦まじく暮らしていました。
しかし、彼はアーンショー家とリントン家からすさまじい虐待を受けてしまいます。
そんなヒースクリフの側にいたのは、いつもキャサリンでした。
しかし、2人が成長すると、キャサリンはリントン家のエドガーと結婚することになります。
その知らせを耳にしたヒースクリフは突然家を出て姿を消してしまいます。
時が経ち、ヒースクリフは裕福になって故郷へもどりますが、キャサリンは錯乱状態のうちに亡くなってしました。
それからヒースクリフは復讐を始め、キャサリンの兄のヒンドリーを追い出し、エドガーやその娘のキャサリン、さらにはヒンドリーの息子であるヘアトンにも怒りの矛先を向けたのです。
娘のキャサリンはヒースクリフの息子であるリントンを結婚しますが、リントンはその後亡くなってしまい、キャサリンはヘアトンと愛し合うようになります。
結局、ヒースクリフは、復讐を果たすことができないまま、亡くなるのです。
キャサリンを愛する気持ちと、憎む気持ちの両方が強烈に映し出された物語であり、主人公のヒースクリフは複雑な感情を抱いた人物として映るかもしれません。
しかし、見方を変えてみると、キャサリンに対する気持ちは真っ直ぐで、直球の愛をぶつけていたとも言えるでしょう。
愛する気持ちとは、何か。
このような問いに対して、私たちは「相手を思いやること」、「相手の幸せを願うこと」と答えたくなります。
多くの恋愛コラムや書籍を読んでも、このような内容がほとんどです。
しかし、ヒースクリフのような愛し方が、愛とは呼べないかと言えば、そうでもありません。
それほどに、愛とはこういうものだと定義することはできず、はっきりとした輪郭がないのです。
愛とは何か、について私たちは常に考え続け、答えを出そうともがきます。
でも、答えは出さなくても良いのかもしれません。
生きて行く中で一度は、思い切り憎んだり、好いたりしてみて良いのです。
恐らくそのようにして、人間は自らの心を省察するようになるのでしょう。
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<平野啓一郎「マチネの終わりに」>
点と点が結ばれ、線となって繋がってゆく恋愛。
状況を自分の力で制御しきることはできないけれど、時間が解決してくれる。
2人を取り巻く環境により、互いに近づくことができず、真直ぐに突き進むような恋ではない。
けれど、最後は繋がってゆく。
時の流れと、心の惹かれあいを描いた大人の恋愛小説を楽しむのなら、平野啓一郎「マチネの終わりに」を手に取ってみましょう。
主な登場人物は、38歳のギタリスト・蒔野聡史と40歳のジャーナリスト・小峰洋子です。
この物語は、5年半の年月を描いたものですが、その期間に2人が会ったのはたった3回だけ。
さらに、2人だけで過ごしたわけでなく、何人かで集まり、短い時間を共にしただけの仲です。
それにもかかわらず、2人は互いに強く惹かれあい、生涯を共にしたいという気持ちを心に秘めます。
しかし、小峰は既に婚約しており、一方蒔野はスランプに陥ります。
さらに蒔野を好いていたマネージャーは、2人の仲を引き裂こうと試み、2人はばらばらに離れてしまいます。
時が経ち、互いに家庭・子供を持ち、毎日を送る。
それでも、それぞれの環境に変化が起こり、最終的には互いの環境と気持ちが合わさるようになり、再開を果たすのです。
この小説は、若い頃の自由奔放な恋愛とは異なった、大人の恋愛を描いており、時と共にゆっくりと変化してゆく美しい恋模様を写し出した物語です。
しかし、学生が読んでも、社会人が読んでも、流れに身を任せ、紡がれてゆく恋の存在を知ることで、何とかして相手を捕まえなければならないと焦る気持ちや、時間や環境に逆らってまで恋を手に入れようとする執着を捨て去ることができます。
恋に苦しめられているのであれば、一読しておきたい一冊です。
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【まとめ】
恋愛は時に楽しく、時に辛く感じるものです。
なかなか最初で最後の恋、そしてハッピーエンドを迎えることのできる人はいません。
痛い思いはしたくないのに、たくさんの傷を作ってしまいます。
そんな時、恋愛小説は傷を負った心の妙薬となるのです。
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