七夕で思い浮かべるものの1つとして短冊が挙げられます。
色とりどりの5色の短冊は、お願い事を書く大事なアイテムですが、色鮮やかな飾りのようでもあります。
この5色、実はそれぞれ深い意味を持っています。
大人も子供も、七夕の短冊はなぜ5色なのだろうと素朴な疑問を持つでしょう。
そこで、今回はこの5色の意味をご紹介しますね。
目次
七夕の短冊はなぜ5色なのでしょうか?陰陽五行説の意味が関係!
七夕と聞いて思い浮かべるものの一つとして挙げられるのが、5色の短冊です。
お願い事を書く時に、なぜ5色なのだろうと疑問に思った方も多いのではないでしょうか。
実は、短冊の5色には深い意味が込められています。
それぞれの色の意味を知っておくことで、願い事も一層叶いやすくなるので、是非とも豆知識として頭の中に入れておきたいものですね。
そこで今回は七夕と深い関係のある5色が持つ意味についてご紹介します。
まずは短冊の色から確認してみましょう。
<短冊の5色には何色がある?>
七夕の短冊には様々な色がありますが、全部で5色です。
色は通常「赤」「青」「黄」「白」「紫」となります。
七夕の願い事を書くために5色の短冊を使うようになったのは、江戸幕府が七夕を五節句の一つとして定めた後のことです。
七夕が高貴な身分の貴族の行事から、庶民の民間行事として移り変わってから、5色短冊が使われるようになったのです。
でも、なぜこの5色が使われているのか、気になりませんか。
実はこの色は中国が発祥の地である「陰陽五行説」が由来となっているのです。
これらの色のそれぞれが持つ意味について知る前に、まずは「陰陽五行説」について確認してみましょう。
<陰陽五行説とは>
短冊の5色は陰陽五行説に由来しています。
この陰陽五行説とは、中国古代の宇宙観や世界観を体現したものです。
中国の春秋戦国時代に考え出された「陰陽思想」と「五行思想」が組み合わさり、「陰陽五行説」となりました。
「陰陽思想」とは自然界の森羅万象を「陰」と「陽」に分ける二元論のことです。
たとえば、太陽は「陽」月は「陰」、表は「陽」裏は「陰」、奇数は「陽」偶数は「陰」というように、あらゆるものを2つに分類してゆくのです。
その一方で「五行思想」というのは、自然界が5つの要素で構成されていることを表す思想のことです。
陰陽説は紀元前1000年あたりに成立しましたが「五行思想」は紀元前400年に最初の記録が残っており、陰陽思想よりも新しい思想なのです。
「五行思想」の5つの要素とは「木」「火」「土」「金」「水」のことを意味しています。
この5つの元素が互いに作用し合い、宇宙が成立しているという考え方が「五行思想」の特徴です。
これら「陰陽思想」と「五行思想」は東洋医学の食事療法のベースとなっており、アロマテラピー、自然療法、代界医療などと深く関わっているのです。
<五行思想を詳しく知ろう>
前の項目では「陰陽思想」と「五行思想」について確認しました。
今回は七夕の短冊の5色について知ることが目的なので、ここでは「五行思想」についてより詳しく探ってきましょう。
先ほども確認したように、「五行思想」とは「自然界のあらゆるものが木・火・土・金・水の5つの元素で成り立っている」という思想でした。
「五行」の「五」と「行」にはそれぞれ意味があり、「五」は「木」「火」「土」「金」「水」の5つの元素のことを示し、「行」は「動く」「作用する」「廻る」という意味を持ちます。
このことから、「五行」とは5つの要素が相互に作用し合うことを意味しているのです。
そして「五行」が持つ相互作用には様々なものがありますが、その中でも重要な相互作用として挙げられるのは「相生(そうじょう)」と「相剋(そうこく)」です。
まずは「相生」から確認してみます。
相生とは「陽の関係」を表し、「木」から「火」がうまれ、「火」から「土」が生まれ、「土」から「金」が生まれ、「金」から「水」が生まれ、「水」が「木」を生むという構造を取っています。
より分かりやすく説明すると、木は燃やすと火が発生し、火で木を燃やした後には灰が残って土となり、土から金属が生まれて、金属が冷えると水滴がついて水が生成され、この水が木を育てるという循環が成り立つことを意味しています。
このように5つの要素が循環することで、エネルギーである「気」を高めるのです。
その一方で「相剋」とは「陰の関係」であり、エネルギーである「気」を静める働きを意味しています。
具体的に説明すると、木が土から養分を吸い取り、土は水をせき止めて濁し、水は火を消しおさめて、火は金属を溶解し、金属は木を切り、傷をつけるという関係が成り立っているのです。
そして、この「相生」と「相剋」がバランスよく巡ることで、「陰」と「陽」の関係も安定し、世界が正常に機能するのです。
<「五行思想」と色の関係とは?>
さて、「五行思想」と色にはどのような関係があるのでしょうか。
5つの要素とそれぞれの色は次のように対応し、それぞれ意味を持ちます。
木=青(緑)…礼
火=赤…仁
土=黄…義
金=白…智
水=黒(紫)…信
「五行」の5つの要素と色はこのように対応しており、それぞれ意味が込められているのです。
これが七夕の短冊の色となっているのです。
そして、実は自分の願い事の内容に近い意味を持った色の短冊にお願いごとを書くと、願い事が叶いやすくなります。
そこで、もう少し詳しくそれぞれの色が持つ意味を確認し、どのような願い事をどの色の短冊に書くのが適切なのか見て行きましょう。
<どの色の短冊にどんな願いを書けばいい?>
短冊には「青」「赤」「黄」「白」「紫」の5つの色があります。
それぞれが持つ意味については前の項目で大まかに確認してみました。ここではさらに、詳しく確認してみましょう。
・青
青い色は「礼」を意味するということでした。
「礼」というのは、自分を取り囲むあらゆるものへの感謝を忘れずに、自分自身の人間力(徳)を高めることを意味します。
したがって、青色の短冊に適した願い事とは、自分を高めるような願い事です。
「感謝の心を忘れないように」「人にやさしくできるように」「困難にもめげないように」など、自分の成長に関する願い事を書きましょう。
・赤
一方で赤色は「仁」を表す色です。
「仁」というのは先祖や両親に対する感謝の念、という意味をもつ概念です。
したがって、赤色の短冊には親への想いを込めた願い事を書くのが適切です。
たとえば、「父・母がいつまでも健康に暮らせるように」「今年こそは、両親を旅行に招待できるように」「親孝行できるように」と言ったお願いごとを添えると叶いやすくなります。
・黄
黄色があらわす意味は「義」です。
「義」とは、規律や義務、決まり事をしっかりと守ることを意味しています。
そのため、黄色の短冊には決まり事を守って目標を達成する、という内容の願い事を書くのが適切です。
たとえば、「今年はタバコをやめる」「受験勉強の計画を着実にこなす」「授業に遅刻しないように」などの願い事を書くのが良いでしょう。
・白
白には「智」という意味が込められています。
この色は受験生にとって大切な色ですね。
なぜなら「智」は学業成就の意味を持っているからです。
お願い事には「○○大学に合格できるように」「学校の成績が上がるように」「資格試験に合格するように」などの願いを書くようにしましょう。
・紫
紫には「信」という意味が込められています。
「信」というのは人に対するもので、人を信頼すること、気遣うことを意味するものです。
人間関係についてのお願いごと、友達についての願いごとについて書くのであれば、紫の短冊に記入しましょう。
たとえば「大学を卒業しても親友との仲が続くように」「たくさん友達ができるように」「職場での人間関係がいつも良好でありますように」などのお願いごとが適切でしょう。
<短冊の5色は七夕以外の行事でも使われる>
以上から、七夕の短冊の5色は陰陽五行説に基づいており、それぞれ特別な意味が込められていることを確認しました。
この5色、実は七夕だけでなく日本の行事のあらゆる場面で使われています。
魔除けとしての役割を担う鯉のぼりの吹き流し、端午の節句のちまきに結ばれた五色の糸、くす玉などもすべて5つの色を取り込んでいます。
また、神社やお寺にも5色の色が多く取り入れられています。相撲の土俵の上にも5色の房が吊り下げられていますよね。
このように、日本の文化においては陰陽五行説の5色が様々な場所に取り入れられているのです。
【まとめ】
七夕の短冊の色が持つ意味も深いものですが、その由来となる「陰陽五行説」も非常に深遠な思想です。
日本の文化を詳しく調べてみると、さらに大きな東洋の思想・文化にたどり着きます。
それはともかく、短冊の5色が持つ意味を知っておくことで、願い事を書く際に、適切な色を選ぶことができるので、願い事も叶いやすくなります。
今まで、色を気にしていなかった方も、今年は意識して選んでみると楽しいですね。
最後に、今回の記事が面白いと思った方は是非SNSでシェアしてみてください。
また、面白かった点ご感想などがありましたら、お気軽にコメントしてくださいね。
皆さまのコメントがより良い記事作りのヒントになります。
関連記事:保育園・幼稚園生の七夕短冊の例文!願い事の書き方は?