私たちが「あの人は成功者だ」と思う人ほど、何度も同じ本を繰り返し読むものです。
でも、なぜ成功者は本を何度も読み返すのでしょうか。世の中に優れた本はたくさん存在するにもかかわらず、自分の人生は限られています。
そのため、「同じ本を何度も読むよりも、新しい本をたくさん読む方が知識も増えるだろう」と思われるかもしれません。
しかし、逆説的なことですが、知識を得、そこから知恵を育てたいのであれば、本を何回も読む必要があるのです。
同じ本を何回も読むことで新発見できるだけでなく、自分の思考を鍛えることもできます。
今回は、成功者が何回も同じ本を読む理由について探っていきましょう。
目次
成功者ほど同じ本を何度も読書する!その理由は何?
同じ本を何回も読むことは時間のむだだと思われがちです。
しかし、驚くべきことに成功していると思われる人ほどこの時間の無駄のような作業を行なっています。
私たちが成功者と呼んでいる人は、細かなスキルや技術も大切だけれど、それと同時に、ものの捉え方や幅広い視点、そして仕事に対する姿勢を支えるような強靭な思考力が必要だということ心得ています。
小手先の技術だけではなく、自分の柔軟な「思想」を築き上げる作業を怠りません。
そのような作業の一環として、同じ本を何回も読むことを実践しています。
何かに取り組むための「土台」の部分を固めて行くためには、この方法が非常に効くことを熟知しているのです。
しかし、具体的にどのような理由があって、成功者は同じ本を繰返し読むのでしょうか。
今回はこの点について深く探って行きましょう。
<成功者が何回も同じ本を読む理由>
「100冊の本を読むよりも、100回同じ本を読むことが大切だ」と言うほど、私たちが成功していると思う人は読書を反復することに重点を置いています。
「人生も限られているし、多読しなければいけない」と私たちは思ってしまうので、この言葉はとても興味深いですよね。
それでは、なぜ成功者は何回も同じ本を読むのかその理由を確認してまいりましょう。
・結果が伴いやすくなるため
読書の目的の一つは「感銘を受けた筆者の思考法を、自分のものにして実践すること」です。
「最高の教育とは、その道の名人から学ぶことだ」という言葉もありますが、自分が「凄い」と敬服する方の考え方を盗み、自分のものにすることで、次第に自分も高みへと近付いていくことができるのです。
本から何回も尊敬する人の教えを受けることで、その人の考え方のうちのどの部分を盗めば良いのか見当が付くようになります。
そして良いと思った部分を抽出・厳選することで、自分が参考にすべき考え方をはっきりと掴むことができます。
このように本を何度も読み返しているうちに、尊敬する人の思考がインストールされ、実際に自分の行動となって現れます。
その本を1回しか読まずに、実践へと移そうとしても、時間がかかるばかりです。
1度きりの読書だと、大事な部分を見逃してしまったり、細部まで理解できなかったりするため、理解が中途半端なまま実行に移すことになってしまいます。
中途半端な理解だと、いくら実行しているつもりでも、一番大事な部分を本から抽出していないので、なかなか結果に結びつかないのです。
繰り返し本を読むのは、多少時間のかかる作業ではありますが、本を読んで下準備を固めることで、いざ実践を行う際には何をすべきかよく分かっているので、その後の前進が非常に早いのです。
・自分の「ものさし」を再確認するため
自分の道を進んでいると、もともと持っていた自分の軸が何どこにあるのか分からなくなってしまうことがあります。
物事に打ち込むことは大切なことですが、夢中になって我を忘れて取り組んでいると、初めに持っていた志を忘れてしまうこともあります。
何とかして結果を出さなければならないと思って、目の前のことで一杯一杯になりがちです。
しかし、そのように切迫した気持ちでいても、逆に結果が伸びないことが多いものです。
なぜ必死になって取り組んでいるのに、思うようにならないのでしょうか。
それは、自分の「ものさし」が無いも同然だからです。
自分の「ものさし」とは何でしょう。それは「ある一定の価値を持ったものを創っていきたい」という基準のことです。
「ある一定の価値」は自分で自由に決めることができます。
たとえば、文章を書く仕事をしているのであれば、「読んでいただいた人に何かを得ていただけるようなもの」「他の人に書けないような独自性で、読む人を魅了できるもの」を「ある一定の価値」となるでしょう。
この「ものさし」が無くなってしまうと、自分が作り出したものには命が宿りません。
つまり、自分の創ったものに命が吹き込まれていないため、死んだも同然の作品を送り出すことになってしまうのです。
そのような作品に触れても、人はあまり心を動かされません。
そこで、自分の「ものさし」を取り戻すことが必要になります。
その方法として最適なのが、以前読んで良いと思った本を読み直してみることです。
特に、今あなたが取り組んでいることを始めてみよう、と思える気持ちを育ててくれた本があるならば、そのような本を読み返してみると良いでしょう。
それを読み返してみることで、当時の自分はどのような気持ちを抱いて取り組んで行こうとしていたのか少しずつ思い出すことができます。
過去に持っていた自分の純粋な気持ちを取り戻すことで、これから何を基準にして進んでいけば良いのか明瞭になり、自分の「ものさし」と取り戻すことができるのです。
・自分の変化に合わせて必要な情報を得るため
初めて本を読んだ時と、次に本を読んだ時では、少なからず自分自身は変わっています。
人間は常に変化してゆくので、自分の考え方や興味も不変ではありません。
したがって、同じ本であっても、本のどの部分に目をつけるのかは毎回違うのです。
以前は何とも思わなかった本の一節が、今となっては非常に自分の心に引っ掛かる、重みのある一節に変わることもあります。
もしかしたら、また新しいことがその本から学べるかもしれないのに、前に興味を持てなかったからと言って読まずにいるのは非常にもったいないことです。
今自分に必要な情報は、前とは違っているかもしれないと意識しながら本を繰り返し読むことで、思わぬ大発見をすることもあるのです。
私も数年前に読んだ時には、全く面白くないと思った本が、今となっては人にも勧めてしまうほど面白いと思えるようになりました。
初めてその本を読んだ当時は、自分の興味が別の方向に向いていたため、味気なく、退屈に感じたのでしょう。
しかし、数年を経て私自身も少しずつ変化して行き、興味も変わっていったので、今はその本から学ぶことは計り知れないのです。
もし、前読んで面白くなかったから、二度と読まないと決めて、再びその本を手にすることが無かったら、その本から学べるはずのことは学べなかったのだと思います。
数年前に読んでみて、特に何とも思わなかった本や、難しいと思った本があれば、是非一度試しに読み直してみてください。
場合によっては驚くほどの新発見をするかもしれません。
・「模写」することで、独自の考え方を身に付けられるため
優れた本を何度も読み返す作業は「模写」と似ています。
絵を上達させる練習としては模写が効果的ですが、それと同じように気に入った本を何度もなぞって行くことで筆者の思考法が自分の中に写されて行きます。
以前、「良い読書をするには良い読者になろう!自分の身になる読書とは」の記事で、読書で大切なのは対話することだとお伝えしました。
対話が大事だということを考慮に入れると、筆者の考え方をそのまま鵜呑みにしてしまって良いのだろうかと思われるかもしれません。
もちろん、自分の見解を持ちながら、筆者の考えを検証してゆくことは大切です。
しかし、自分の見解というものもまだ確固としたものではない場合が多いものです。
そのような時には、一旦自分の見解は手放してみて、著者の視点をそのまま素直に受け入れてみます。
初めの数回はこのように、ひたすら筆者の見解を「模写」するという方法でも大丈夫です。
なぜ、最初のうちはこれで良いのかというと、筆者が何を言いたいのか把握できない限り、自分の考えを育てることは不可能だからです。
自分だけのオリジナルな視点を育てるためには、まず他の人がどのような考えを持っているのか調べる必要があります。
人とある事柄について話し合う際にも、まずはその人がその事柄についてどう思っているのか知るために、その人の話に耳を傾けますよね。
話を聴いているうちに、疑問点や自分の考えが浮かんできます。
また、何人か自分の尊敬する人の見解を知ることで、それらの見解を融合してみたり、不足していると思う部分があれば、自分なりの考え方で補ったりすることができます。
このようにして、始めは繰り返し「模写」してゆくことで、本の内容をしっかりと理解することができ、それを受けてようやく自分で考える余裕ができるのです。
<どんな本を繰返し読めばいいの?>
さて、同じ本を何回も読む理由について確認しました。
それでは、繰返し読むにはどのような本を読めば良いのだろうかと疑問に思いますよね。
繰り返し読むと良い本は2種類あります。
一つは単純に「自分が感銘を受けた本」、もう一つは「著者の考え方が良く理解できなかった本」です。
この2つは相反するものですが、どちらも読み返してみることで、自分が今どのような意思を持っているのか確認することができます。
「感銘を受けた本」を読む大きな目的は、先ほどお伝えしたように、自分の「ものさし」を確認することです。
今取り組んでいる活動を始めようと決断した時には、自分がどのような気持ちを抱いていたのか、当時影響を受けた本を読み返すことで、そもそも自分がどこに向かおうとしていたのか見直すことができます。
その一方で「著者の考え方がよく理解できなかった本」を読む目的は、自分の物の見方がどのように変わったのか、理解できなかったことを理解できるような思考力が身についたか、自分の興味はどれほど変化したのか、について確認するということです。
以前とっつきにくい、難しいと思った本を読み、本の内容を反芻してゆくことで、自分の理解力と考察力を鍛えるトレーニングにもなるのです。
何度も繰り返し読んでしまうような良書に出会うためには、まず興味のある本を片っ端から読んでゆくことが大切です。
どの本からも得るものがありますが、「これは凄い」と思わせるような本は少ないものです。
まずは良い本に出会うために、貪欲に、そして読書を楽しむ気持ちで、興味のある本を手に取ってみてください。
【まとめ】
今回は、なぜ成功者は同じ本を何度も繰り返し読むのかという理由についてご紹介しました。
いくつかの理由を挙げましたが、これらを端的に表現すると、「自分の「ものさし」を再確認し、自分の思考力を働かせて、新しいものの見方を開発して行くため」だと言えるでしょう。
最初は著者の模倣に過ぎないかもしれませんが、著者の思考をまねて行くうちに、何か気付きを得たり、逆に違和感を覚えたりするでしょう。
これが非常に大切なことです。
このような体験を繰返して行くうちに自分の独自性を磨くことができるのです。良い本に出会ったら、暗記してしまうくらい読み込んで、生涯の相棒にしましょう。
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