最近では、ビジネスや特定の専門分野において「速読」や「フォトリーディング」といった読書法が支持されています。
なんとなく聞いたことはあるけれども、それぞれどのような読書法で、どのような違いがあるのか分からない方も多いのではないでしょうか。
これらの読書法を取り入れ、上手に使い分けることで、効率よく読書を行うことができるようになります。
今回は速読とフォトリーディングの違い、そしてそれぞれの実践方法ややり方について確認してみましょう。
目次
フォトリーディングと速読の違いは何?やり方は?
読書はゆっくりと楽しむことも大切ですが、仕事上のリサーチや期末レポートにおいては調べる時間も限られているため、必要な情報を素早く収集する必要があります。
このような時、非常に役立つのが「速読」そして「フォトリーディング」です。
これらの技術を習得することでより速く、かつ質の高い情報収集を行えるのです。
これらの読書法に関する講座なども開かれ、多くの方が速読やフォトリーディングの技術習得に励んでいます。
今回は、仕事でも学校でも、そして趣味の読書においても役に立つ速読とフォトリーディングの方法、そして両者の違いを確認しましょう。
まずは、速読とフォトリーディングの違いについて見ていきましょう。
<速読とフォトリーディングの違い>
速読とフォトリーディングはどのように異なるのでしょう。読書法について知らないと、「どちらも本を速く読むためのもの」ということしか分かりません。
しかし、速読とフォトリーディングは全く異なったものです。
最初に速読とは何かについて見ていきましょう。
・速読とは
速読の一番の特徴は、眼球運動であるということです。
高速で文章を読み取り、一度に認識できる文章の範囲を広げることで、本の内容を瞬時に理解します。
したがって、速く読みながらも読んでいる文章の意味は正しく理解しています。
通常の読書と異なる部分はこの点です。
通常の読書方法は、一文字ずつ目で追って行きますよね。
しかし、速読では一度に数文字読み取るのです。
また、速読は斜め読み・飛ばし読みとも異なり、読む速度を上げながらも、理解力は落としません。
このように速読では、一度に読み取ることのできる文字数を増やして視野を広げ、複数の文字を同時に読み取ると同時に、本の内容を早く正確に把握するのです。
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・フォトリーディングとは
一方、フォトリーディングの目的は、速読のように全ての文章を読むのではなく、事前に本を読む目的と得たい情報を明確にすることで、必要な情報だけを抽出することにあります。
1秒1ページの速さで、ページ全体を、写真を取るように眺めて情報を取り込む方法です。
フォトリーディングでは本を眺めた瞬間は、文章を認識していません。
右脳は読み取った文章をイメージとして処理し、その文章の情報は潜在意識へと送り込まれます。
次に、左脳を利用して、潜在意識を通して必要な情報のみを汲み取ります。
このように、フォトリーディングは右脳と左脳の機能を使い分ける読書法なのです。
また、眼の動かし方も速読と全く異なります。
速読では高速で眼を動かしますが、フォトリーディングではほとんど眼は動かさず、ページ全体を眺めます。
後ほどフォトリーディングの方法を詳しくご紹介しますが、この方法は「準備」「予習」「フォトリーディング」「復習」「活性化」の順番で進みます。
技術さえ習得してしまえば、非常に速く本を読める方法なのですが、そこには難点も隠されています。
それは、フォトリーデングを利用できる場合が限られているということです。
つまり、自分の専門外の分野の本や、文章の構造や論理構造が複雑な本を読む場合には向いていない読書法なのです。
したがって、フォトリーディングは自分の得意分野・専門分野の本や、理解しやすい新書などを読む際に活用したい読書法です。
・速読とフォトリーディングの違いのまとめ
以上から、速読とフォトリーディングがいかに異なるのかまとめると、以下のようになります。
・速読では高速で眼球を動かすが、フォトリーディングではほとんど動かさない。
・速読では読んだ瞬間に文章の意味を理解しているが、フォトリーディングの場合は文章の意味は分かっていない(読まずに眺めただけ)
このような違いがあるのですね。
速読とフォトリーディングは場合によって使い分けする必要があります。
初めて学ぶ分野の本を読む場合や、難しい内容・論理展開の本を読む場合には速読を利用し、既に基本知識を持っている分野の本を読む場合や、自分の専門分野である場合、また内容の易しい本を読む場合にはフォトリーディングを利用しましょう。
<速読とフォトリーディングの方法>
それでは、速読とフォトリーディングの違いをおさえたところで、それぞれどのような方法で読むのか確認しましょう。
まずは速読方法からです。
・速読の方法
速読ではどのような訓練を行なえば良いのでしょうか。
端的にその方法を表すと、「一度に読み取ることのできる文字数を増やし、なおかつ眼球を動かす速さを上げる」という訓練を行います。
最初に、「一度に読み取ることのできる文字数を増やす」訓練についてご紹介します。
-一度に読み取る文字数を増やす方法
一度に読み取る文字数を増やす方法とはつまり、瞬間的な視野を広めるということです。
どのように視野を広げれば良いのでしょうか。
効果的なのは、読み取った文字を頭の中で音声化しないということです。文章を読んでいる時、心の中で音読している方は多いのではないでしょうか。
この「心の中の音読」が文章を読むスピードを遅くする大きな原因となっています。心の中で音読することは、文字を一文字ずつ読んでいることと同じです。
一つ一つの文字を音声化し、音読すること自体に意識が集中してしまうので、一度にいくつかの文字を捉えることができず、文章そのものものの理解もできません。
語学学習の場合には音読が最大の効果を発揮しますが、本を速く読む場合には真逆なのです。
文章を目で捉え、一度に数文字読み取るには、「心の中の音読」を辞める必要があるのです。
また、視野を広げるために、両腕を横に大きく広げ両親指を立てて、顔は動かさずに両目を左右に動かします。
このようなトレーニングを行なって行きましょう。
-眼球を動かす速さを上げる
文章を読む際には、文の始まりから終わりまで目を通してしまいがちですが、それでは視点の異動に時間がかかってしまいます。
速読では一文の真ん中から最後まで行く手前で次の一文の真ん中に視点を移すことで、眼球を素早く動かして行きます。
また、眼の動きを滑らかにするために、紙に書かれた円の線を追ってみたり、同じ文章を何度も読んだりして、1分間に読むことのできる文字数を確認します。
-おまけ:文章のかたまりごとに読む
さて、上の2つの訓練で速読方法の基本はおさえられました。
さらに速読スピードを上げるには、文章をそれぞれのかたまりに分けて読む方法が効果的です。
読み進めながら、文章を数十文字単位のかたまりで括り、そのかたまりの中央から別のかたまりの中央へと視点を移動させていきます。
中央に視点を置くということが大事なポイントです。
なぜ中央に視点を置くのかというと、一目で認識できる文字数を増やすためです。以上が速読の方法です。
・フォトリーディングの方法
フォトリーディング方法では5つの段階を踏みます。
それは①「準備」②「予習」③「フォトリーディング」④「復習」⑤「活性化」です。
この順番で本の内容をインプットしていきます。
① 準備
準備の目的は「読書の目的を明確にすること」と「集中状態に切り替えること」です。
読書の目的を明確にするために、「その本を読んでどうなりたいのか」、「どのくらいの時間を本にかけるのか」、「その本はどのくらい重要であるのか」といった問いかけを行ないます。
また、自分が集中できるような環境・状態を作り出します。瞑想など、自分に合う方法で意識を集中させましょう。
② 予習
予習では、主に目次や本全体の構成を確認して、自分が得たい情報が載せられているか検証します。
まずは1∼2分程度で目次を見て、全体の構成を掴みます。
その次には、自分が必要としている情報を得ることができそうか判断します。
この時点で、自分の欲しい情報が得られそうにないのであれば、読むのを辞めるという選択肢もあります。
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③ フォトリーディング
下準備が整ったら、フォトリーディングを実践します。
実践に入る時には「アファメーション」と呼ばれる宣言を行います。
これは自分に向けて行う宣言であり、フォトリーディングで何を得たいのか、そして最後まで集中力を保って読書を終わらせる、ということを宣言します。
このように、アファメーションを通して目標を自分に対して宣言することで、潜在意識がフォトリーディングの作業を肯定的に捉えるようになり、作業の効率が上がってより高い成果を得ることができるのです。
アファメーションが終わったら、フォトリーディングに入ります。
この時、視野はページ全体にまで広げ、文字に直接焦点を合わせません。
これを「フォトフォーカス」と呼びます。
フォトリーディングでは、意識して文字を取り込むのではなく、本のページ全体を一つの画像イメージとして潜在意識に取り込むことで、必要な情報を処理していきます。
このような方法で1ページ1枚のペースでページをリズムよくめくります。
最後のページまで読み終わったら、全ての情報を無事取り込んだというアファメーションを行なって終了します。
この時点では、そもそも文字を読んでいないので、意識には何も情報が残っていません。
しかし、画像として取り込んだ情報は潜在意識の中に取り込まれています。
④ 復習
復習では、曖昧な画像でしかない情報に意味を付け加えてゆく作業を行います。
具体的には「調査」「トリガーワードの抽出」「質問作り」を行ないます。
「調査」ではもう一度文章全体を眺め直して本の構成を掴みます。
この時、注目すべきポイントは、「サブタイトルや索引」「表紙・裏表紙、最初と最後のページ」「図表やグラフ」「太字・斜体の文字で強調されている部分」を中心に調査していきます。
これを終えたら「トリガーワードの抽出」を行ないます。
トリガーワードは文中で何度も使われており、著者の言わんとすることを強く表す言葉です。
この作業を終えたら、トリガーワードを参考にしながら「質問作り」を行ないます。
質問を作ると、自ずと脳が質問に答えようと働きます。
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⑤ 活性化
最後に「活性化」を行ないます。
この項目の手順は「休憩」、「質問の見直し」、「スーパーリーディング・ディッピング」、「マインドマップの作成」、「高速リーディング」の順で進みます。
「休息」では10分から20分程度の休息を取ります。
休憩をとり終わったら、「復習」の時に作った質問を見直しますが、答えは必ず得ることができるという信念を持って質問を確認します。
次にスーパーリーディングで重要だと思われる箇所のみ読み飛ばします。
この時も1文字ずつ読むのではなく、ページ全体を眺めます。
スーパーリーディングと合わせてディッピングというものも行ないますが、これは気になる箇所・キーワードを見つけた時にその周辺をじっくりと読む方法です。
スーパーリーディングで全体を俯瞰しつつも、ディッピングで重要な個所は焦点を当てて情報を取り込むことで、潜在意識に取り込んだ画像とキーワードを結び付けて行き、情報の輪郭をよりはっきりとしたものにするのです。
その上で、マインドマップを作ります。
これまで自分が作成した質問やトリガーワード、本の目次などを参照して、その本が言いたいことや全体像を紙に書き出してまとめます。
この作業が終わったら、念を押して正しい解釈ができているか確認するために、高速リーディングを行ない、自分の認識と本の内容を照らし合わせて内容を正しく把握出来ているか調べます。
これで、全てのフォトリーディングの作業が完了します。
【まとめ】
今回は速読とフォトリーディングについて確認しました。
どちらも場合によって使い分けることが一番大切なポイントです。
また、全ての本にこのような読書方法が適用できるわけではないということもおさえておきましょう。
古典など理解に時間のかかる難しい本はまずは、普通の読書方法でじっくりと読んでみるのが適切です。
それぞれの方法を上手に使い分けて、充実した情報収集を行いましょう。
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