慶應義塾大学経済学部はどのような学生を求めているのでしょうか。
それはある科目を見れば、一目瞭然です。
そう、小論文です。
経済学部に限らず、慶應義塾大学では小論文が試験に課されます。
各学部によって小論文の特色は違うので、経済学部に合った受験対策を行う必要があります。
また、多くの受験生が小論文受験対策まで手が回らない中、どのように勉強を行なえば高得点を取れるのでしょうか。
今回は慶應経済の小論文受験対策についてご紹介します。
目次
慶應義塾大学経済学部の小論文受験対策!高得点の取り方は?
慶應の経済学部は、常に変化し続ける社会の流れを俯瞰し、様々な視点からあらゆる物事の本質をつかみ取れる学生を求めています。
慶應義塾大学経済学部のこの意思が最も簡潔に、凝縮して表されている科目は小論文です。
今回は【慶應の経済学部の小論文で高得点を取る】ということに焦点を当てて、対策をご紹介します。
それでは、まずは基本情報である配点・試験時間から確認します。
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<小論文の配点・時間>
慶應経済学部の小論文の配点は同大学の他学部と比べて少ない傾向にあります。
また、他学部と比べれば「標準レベル」ですが、要約力・思考力の問われる試験であり、訓練が必要であることには変わりありません。
経済学部の場合は全科目計420点のうち小論文が70点を占めます。
課題文を読ませ、その要約と自分の考えを600字前後で書かせるという形式を取ります。
時間は60分なので、課題文を読む時間は10∼15分、文章の構成、執筆、見直しにかける時間は50~45分が目安です。
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<慶應経済の小論文の特徴・傾向>
慶應経済の小論文は、社会科学や経済学をベースにしたテーマが基本ですが、毎年テーマの変動が激しく、時には生命科学・自然科学がテーマとなることもあります。
このことから、経済学部の小論文に対応するためには、まずは①社会科学・経済学の基礎知識を頭に入れ、次に②分野を問わず知識を幅広く取り入れてゆくことが必要とされます。
その具体的な対策方法については、後ほど<高得点を取るための対策>の項目でお伝えしますね。
ここでは、過去5年分の小論文テーマについてざっと目を通し、慶應経済の小論文が多様性に富んでいることを確認しましょう。
2016年:公共政策と自由
2015年:現代における知識生産
2014年:経済革新と模倣
2013年:脱原発論について
2012年:霜柱に関する科学的研究
これらの過去問を概観してみると、「公共」をテーマにしたものが多いことに気付きます。ただ2012年は、霜柱というかなり変わったテーマが出題されました。
意外なテーマも出題されるということを心に留めて、幅広い話題にアンテナを張りましょう。
<採点者はどこを見るか>
慶應の経済学部の小論文で高得点を取るには、「採点者が受験生の解答のどこを重視しているか」把握する必要があります。
実際に、採点者は以下の2点を重要視しています。
・要約ができているか
・テーマから外れずに自分の立場を表明できているか
小論文で重視されるのは、「要約」と「自分の考え」であります。
特に小要約に重きが置かれます。「一番大切なのは要約が出来ていること」だといっても過言ではないでしょう。
要約が確実におさえられていれば、多少自分の意見が要旨からずれてしまっても高得点を狙うことができます。
自分の考えを表明する部分では、適宜具体例を交え、明確に結論を示しましょう。
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<小論文に必要な力>
採点者の視点を確認すると、小論文には3つの力が必要とされていることが分かります。
この3つの力とはどのようなものなのでしょう。
大事なものから順に並べてゆくと以下のようになります。
① 要約力:出題文の要旨とキーワードをおさえ、端的にまとめる力
② 論述力:起承転結に明瞭な言葉で文章を書く力
③ 思考力:テーマの要旨を外さずに自分の立場を探る力
やはり、何と言っても養っておくべき力は要約力です。
要約が配点のうちどれほどの割合を占めるかは具体的には分かりませんが、課題文の内容を把握し、それをまとめる力が一番重視されています。
もちろん、自分の意見を練り上げ、簡潔に表現する思考力も大切です。
しかし、思考力自体も「テーマの要旨を外さずに」自分の立場を表明する力であるので、やはり要約力があってこそ、成り立つものなのです。
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<小論文の書き方>
それでは要約力が大切だということを踏まえ、小論文の書き方について確認します。
書き方の基礎をきっちりと踏まえてから、小論演習に取り組みましょう。
・言葉遣い
小論文では「です・ます」ではなく「である・だ」を使う必要があります。
また、客観的な視点で論じることが求められているため「私は」「~と思う・考える」という表現は避けるようにしましょう。
「~だと言えるのではないか」「~であると言えよう」といった表現であれば大丈夫です。
・ 自分の言葉で文章を書く
小論文では課題文を読まされます。
要約の際には、つい課題文の引用の寄せ集めのようなものを書いてしまいがちですが、それでは「引用」であって「要約」ではありません。
大切なことは、課題文を読み、自分の頭の中で文章の意味をかみ砕き、理解してから自分の言葉で要約文を作成するということです。
要約を作成する場合は、課題文のキーワードを取り上げ、それを中心に文章を書いて行くことで、単なる「引用」になることを避けられます。
・ 要約する際にはキーワードと主旨を外さない
如何に質の高い要約ができるかが高得点のポイントです。
要約で最も大切なポイントは「課題文のキーワードと主旨を外さない」ことです。
これさえ守れていれば、高得点をもらえます。
また要約はあくまでも著者の文章が大前提なので、自分の意見は含めないように注意しましょう。
キーワードを使って要約を練り上げ、著者の文章を読んでいない人でも理解できる要約文を心がけましょう。
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<高得点を取るための対策>
小論文で高得点を取るためには、具体的にどのような対策を取れば良いでしょうか。
おすすめの小論対策をご紹介します。
・「ストックノート」を作ろう
小論文は一朝一夕で書けるようにはなりません。<小論文に必要な力>でもお伝えしたように、「要約力」「論述力「思考力」の3つの力を伸ばしてゆく必要があるからです。
したがって、余裕を持って入試の1年前、遅くとも半年前からは、小論文を書く力を蓄える必要があります。
そこで小論文対策を始める際には「ストックノート」を作ると良いでしょう。ストックノートには次のことを書き込みます。
① 現代文で出会った知らない言葉とその意味
② 小論文の解答・過去問の解答(自分の答案)
③ 現代文の要約とキーワード、それに対する自分の意見
④ 社説の要約とそれに対する自分の意見
これら①~④すべてを1冊のノートにまとめることで、小論文に必要な知識を蓄積できます。
また、ノートに全てを凝縮することで、本や文章を読みっぱなしにしたり、小論文の問題・過去問を解きっぱなしにしたりせずに、持ち歩いて見返すことができるので、知識力・思考力を深める効果も期待できます。
①~④に限らず、自分が読んだ本やまた別の文章で出会った用語・話題も次々と書き込んで行きます。
このようにすることで、自分の中に知識が「ストック」され、明快で裏付のある小論文を書けるようになります。
・要約の訓練を積もう
小論一本の慶應を目指す場合でも、他の学校の受験対策として現代文に取り組みますよね。
現代文の読解も、立派な小論文対策となります。
学校や予備校、自習等で、現代文を読み終えたら、原稿用紙1枚(400字)を用意し、文章の内容を要約しましょう。
3日に1度、現代文1つ要約するのがおすすめです。
要約は始めたばかりの頃、非常に時間がかかります。
しかし、この作業を積み重ねてゆくことで、即座に文章全体の意図を察知できるようになります。
また書いた要約文は、先生など他の人に確認してもらいましょう。良いアドバイスをいただけます。
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・知識をストックする
幅広い分野の課題文を読みこなし、自分の意見を築き上げるためには、読解力や思考力の土台となる知識が必要です。
いくつか知識のストック方法があるので、確認して行きましょう。
-言葉・用語を調べる
現代文を読む時に様々な用語に出会いますよね。分からない言葉や用語が出てきた時には必ず調べるようにしましょう。
特に、現代文の中でも評論文や論説文の用語には敏感になりましょう。
調べた言葉は、先ほどご紹介した「ストックノート」に書き留めておくのがおすすめです。
-読書する
小論文や現代文の出典となっている本を実際に読んでみましょう。
本を1冊読んでおくことで、本から得た知識も自分の記憶に残りやすくなります。
また、慶應の経済学部を受験する場合は、社会科学・経済学の基礎知識を固めておく必要があるので、この分野の基礎を知ることのできる本を読んでおくと万全な対策となります。
おすすめ図書は<役立つ参考書>の項目でお伝えします。
-新聞社説
また、慶應の経済学部を受けるのであれば、日々新聞に目を通しておくことが大切です。
特に新聞の社説には必ず目を通しましょう
2013年の小論文は「脱原発論」をテーマにした日本経済新聞・朝日新聞の社説が出されました。
社説は切り取り、「ストックノート」に貼って、要約すると知識の蓄積になりますよ。
-自分の意見を持つ
小論文は要約が大切ですが、自分の意見も重視されます。
しかし、自分の意見を表現することに慣れていないと、うまく表現することは困難です。
社説や現代文・小論文の課題文を読んだら、要約とセットで自分の意見も「ストックノート」に書き込んでみてください。
ほんの1行2行でも、効果ありますよ。
まずは一言、自分の意見を表現する機会を作り、積み重ねて行ってください。
・経済学部の教授陣の専門分野を調べておく
大学の入試では、その学部の教授の専門分野に関連するテーマが出題される可能性が高いです。
多くの受験生は教授陣の専門分野まで調べません。
しかし、慶應経済学部の小論文で高得点を狙うのであれば、教授陣の専門分野を確認しておく必要があります。
彼らの専門分野をおさえておけば、それに関連した情報に焦点を当て、ピンポイントで知識を蓄積することができます。
教授の専門分野は、大学のホームページやパンフレットに記載されているので、手間を掛けずに調べることができます。
ご参考となるよう、ホームページのURLを載せておきますね。
☆慶應義塾大学 経済学部・大学院経済学研究科 教員一覧
https://www.econ.keio.ac.jp/about/faculty-list
おすすめ:慶應義塾大学経済学部の数学受験対策!高得点の取り方は?
<参考書>
慶應経済学部の小論文では、経済学・社会科学の基礎知識が求められます。
そのためにも、基礎を学べる本を読んでおきましょう。
ここでは4つの本をご紹介します。
・菅原晃『高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学』
これは経済学初心者でも読みやすい本なので、経済学部を目指しているけれども、経済についてあまり知らない方におすすめです。
ニュースでよく聞く用語を解説しています。
・伊藤元重『入門経済学 第四版』
こちらも経済学の基礎を丁寧に解説した書籍で、1988年の初版から多くの読者に支持され続けている経済学入門書です。
・高島善哉『社会科学入門』
『社会科学入門』は岩波書店から出されています。新書なのでそれほど分量も多くなく、社会科学の要点を体系的に抑えることができます。
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・神崎史彦『[社会科学系]編』
この小論文参考書は社会科学の頻出テーマを扱った本です。
各テーマ別にどのような解答が求められているのか、ポイントが抑えられている優れものです。
多くの予備校講師や塾運営者に支持されている参考書です。
【まとめ】
経済学部の小論文対策についてご紹介しましたが、過去の出題テーマを見ただけでも、広い視野を持った学生が求められていると分かったのではないでしょうか。
まずはストックノートを用意し、日々出会う文章を要約しましょう。
要約の訓練を行うだけでも、キーワードの掴み方や、文章の起承転結を学ぶことができます。
ちりも積もれば山となる、と思って地道に取り組んで知識を蓄積してみてくださいね。
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